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『みんなの学校』というチームの在り方

 7月18日(月)、『あこがれ先生プロジェクトinいばらき』のイベントがありました。

お招きしたのは『みんなの学校』の木村泰子先生。

2年ぶりの再会となった今回、映画と書籍、そして木村先生のお話しを聴くことで『みんなの学校』がより理解でき、その本質に深く共感しました。

今日は『みんなの学校』を組織論の観点からまとめてみようと思います。

  

『みんなの学校』というチームの在り方
①理念・指針と対話によってチームを運営する

チーム(組織)をつくるとき、そのチームに所属するメンバーが守るべきルール(規則・規律)を具体的に定め、それを基準として賞罰を与え管理する。

これは、企業や行政、NPOなどでも見られる、一般的な組織の形です。むろん、多くの学校もそのような形をとっています。

 しかし、みんなの学校は、理念と1つの約束に基づき「私たちにとって何が正しいのか?」を話し合いながら運営されています。

 1つの約束とは『自分がされていやなことは、人にしない、言わない』です。

 

これは、論語の、

其れ恕か。己の欲せざるところ、人に施すことなかれ

 に通じる、徳を高めるための普遍の定理です。

 

ちなみに、自分がされていやなことを人にしないというと、自分の価値観に基づいて判断するように捉えがちです。自分の好き嫌いに照らし合わせて、相手も好きだろうと判断する。

しかし、この考え方は、自分の価値観を相手に押し付ける行為であり、人がされたくない行為の一つです。

つまり、自分がされていやなことを人にしないという言葉の本質は「自分の価値観を人に押し付けない。相手の価値観を尊重したうえで接する」ということにあります。

このたった1つの約束を念頭に対話を繰り返し、一つ一つの出来事に向き合っていく・・・

 

そのような対話の場として、具体例がいくつか紹介されています。

  • 全校道徳:すべての生徒、教員、さらには保護者や地域の方々が参加し、『人権』などのお題に対して自由に話し合う場。自分なりの意見を持つことを大切にした対話の場。
  • 職員ミーティング:支援が必要な生徒について、徹底的に話し合う対話・議論の場。
  • やり直しの部屋(校長室):1つの約束が守れなかったとき、あるいは自分で決めて表明した約束事が守れなかったとき、校長先生との対話を通じて反省し、やり直すための場。

これらの対話と議論を通じて、自分にとって、チームにとって何が大切なのかを都度考え、自分で答えを主体的に導き出す。

アクティブラーニングという手法が最近流行りのようになっていますが、授業のみならず、学校生活すべてがアクティブラーニングになっている。アクティブラーニングという手法ではなく、『子供たちが主役』という在り方に基づいて運営されてる。

大空小学校は、古くて新しい、時代の最先端を進む学校だと感じています。

 

②身に付くまで何度でも「やり直す」ことを歓迎する

私たちは、いつの頃からか、失敗を恐れるようになり、隠したり、チャレンジしなくなってしまいます。

学校生活を終え、社会に出る頃には、失敗を恐れ、無難な道を選択することが当たり前のようになっている人も少なくない・・・そう実感しています。

しかし、どんなに安定を求めようとも、世の中は常に変化しています

その前提に立つと、社会人になってから死ぬまでチャレンジしないですむ人はほとんどいないはずです。

経験したことのない出来事に遭遇せずに生きることは難しい。

であるならば、そのような状況になったときにそうすれば良いのか?を身に付けることが真の安定につながると思います。

つまり、「正解を知っている」ことより、「素早く正解にたどり着く方法を知っている」ことが社会に出てから重要ですし、生きる上でも大切なことだと言えます。

論語に、

過ちて改めざる。これを過ちという

とあります。

大切なことは、過ちを犯さないことではなく、過ちを改めないこと(やり直さないこと)にある。

大空小学校では、10年後を見据えて、次の4つの力を伸ばしたいと考えてるそうです。

子どもにつける4つの力

  • 人を大切にする力
  • 自分の考えを持つ力
  • 自分を表現する力
  • チャレンジする力

※大空小学校HPより:http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/data/e731673/g/o/778403.pdf

 

この4つの力は、少し表現を変えると『多様な人々と意志疎通するためのコミュニケーション力』や『出来事に対し、主体的・能動的に向き合い行動する力』『チャレンジしながら成果に結びつける力』という、社会に出てからもっとも必要とされる力だとされているものです。

小学生のうちからそれらの力を磨くことができる大空小の子供たち、そしてその学びを支援することで自分達も学んでいる周囲の大人たち。

2010年に独立し、将来取り組みたいと考えていた事の一つに、「子供たちが社会に出てから必要とされる力を義務教育のうちから学ぶような取り組みをしたい」というものがあります。

その漠然とした考えが、具体的事例を目の当たりにすることで、具体的な目標に変わりました。

 

③情報は徹底的にオープンにする

毎日の授業も、職員室も校長室も、大人(職員)の失敗とやり直しもすべてがオープンとなっているのが『みんなの学校』です。

すべての情報を公開することは、とても勇気のいることです。

人はみな違う。

ある人が良いということある人は悪いと言います。捉え方はその人次第。そのため、公開した情報が思わぬ批判につながることもある。

さらに、すべてをオープンにするということは、失敗も明らかにするということです。

先生の失敗も、子供たちの失敗も、ときに保護者や地域の方々の失敗もオープンにする。

それによって一時的に傷つく人もいる。一時的に関係がこじれることもある。

でも、その先にある『真の相互理解』を目指して徹底的にオープンにしていく。

 『真の相互理解』が進んだチームは高い成果を上げることが、最近の研究でも明らかになっています。

 

※グーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだ

http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/48137

 

最新の研究で明らかにされているチームで成果を上げるための秘訣を当たり前のように行っている学校。それが『みんなの学校』です。

 

④多様性を尊重し、常に変化し続ける組織

ここまで書いて、『みんなの学校』が『ヒエラルキー型組織』ではなく、『ホラクラシー型組織』によって運営されていることに気づきました。

ヒエラルキー型の組織とホラクラシー型の組織を対比すると次のようになります。

 

 

 一般的な学校や企業の組織は『ヒエラルキー型の思想』によってつくられており、『みんなの学校』が『ホラクラシー型の思想』によってつくられていることがわかると思います。

20世紀において、人が担ってきた多くのものが人工知能(AI)やロボットに置き換わっていく21世紀。

ヒエラルキー型の組織で育った、ヒエラルキー型の組織になじむ子供たちはどうなっていくのか・・・

時代がより速いスピードで変化し続ける中で、学校教育の在り方、というより学校の在り方を大きく変える必要がある。そう感じています。

 

『みんなの学校』を創りたい!

個人的に、漠然と描いていたビジョンが、具体的事例に触れることで具体的なビジョンに昇華しました。

既存の学校を『みんなの学校』化していく。あるいは、新しい学校を創るなど、やり方はたくさん考えられます。どのような手法を取るかはこれから考えていきますが、まずはこの想いを伝え続けること。そして、いま自分ができる範囲で『みんなの学校』的なアプローチを始めていきます。

 

すでに動き始めている長女に負けじと、父もがんばります!

 

 



 

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