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同一労働同一賃金

最近話題の「同一労働同一賃金」

 

私の本業と密接にかかわるテーマです。

 

同じ仕事をしているのに、雇用形態(正社員、契約社員、パート・アルバイトなど)によって賃金が大きく違うのは確かに解決した方がよい課題だと私も思います。

 

一方で、この「同じ仕事」という定義が難しく、企業への導入はそんなに簡単ではないというのが実感です。

 

今日はこの「同一労働同一賃金」と「人と仕事の関係」について書いてみます。

 

何をもって「同一労働」とするのか?

例えばウエイターという仕事があります。

 

レストランや宴会場において、接客を担当する仕事を指します。

 

レストランであれば、

  • お客様を席までご案内する
  • オーダーをとる
  • オーダーに合わせてテーブルをセットする
  • 飲み物や料理を提供する
  • 食事の済んだお皿をさげる

などが仕事の内容になります。

 

この仕事の内容が同じであれば基本的に同一労働といえます。

 

しかし、人によっては、より多くのお客様(テーブル)を担当できる人もいます。

また、お客様に高い評価を得るようなサービスができる人もいます。

つまり、同じ仕事でも、仕事の成果(仕事量や仕事の質)は人によって変わります。

 

この仕事の成果の差を、どう評価し、どう賃金に反映させるのか?

 

が、課題となります。海外ですと、お客様がウエイターのサービスにチップという形で対価を支払う仕組みがあります。日本にも一部「心付け」のような形はありますが、一般的ではない。

 

となると、賃金を支払う企業側は、何かしらの基準で評価し、それを賃金などに反映させる工夫が必要となります。

 

社員が納得すれば「仕事の成果は問わず、あくまで同じ仕事であれば同じ賃金にする!」という割り切りもアリだとは思いますが、人はだれしも努力を認めてほしいもの。お金以外のインセンティブを含め、その努力や成果に報いる仕組みが必要です。

 

「同一労働」は、仕事の内容と共に、仕事の成果についても視野に入れて検討する必要がある。ということです。

そもそも、誰がやっても同じような結果となる仕事は、今後ITやロボットに置き換わっていく可能性があります。

 

ですので、仕事の成果(量、質などの差)を明らかにし、そこに価値を見出すことが今後はより重要になると考えています。

 

人と仕事の関係

始めに型(職務記述書)があり、その型に合うように働いてもらう。型にあった人を採用する。

 

「同一賃金同一労働」の流れによって、このような職務優位の組織・人事制度が増えることになると思われます(職務等級制度、職務給、職務評価などと呼ばれているものです)

 

外資系企業では一般的なこの考え方ですが、とくに中小企業では導入がなかなか難しいのが現実のようです。

 

人はそもそもユニークな存在です。同じ人間は誰一人としていない。

 

その人の持つ志向性・価値観、培った知識や経験などを考慮しつつ、その企業にとって必要な仕事とマッチングしていく。一人ひとりに合った仕事をオーダーメイドで創り上げる。

 

大企業には難しいそのような対応(人に仕事を合わせる)が中小企業には可能です。もちろん、業種や業界の特性にも関係しますので一概には言えませんが。

 

また、マルチタスク(複数の職務を兼任し、日や時間によって職務が変わる)ような働き方も多く、ネットワーク型組織やプロジェクト制による仕事の割り振りをする企業も増えています。

 

人と仕事が柔軟に移り変わる。その組織に所属するメンバーの特性に合わせて、仕事の分担を適時変えていく。

 

外部環境や内部環境の変化によって適時変化し続ける組織。

 

そんな組織が今後はより求められるように感じています。

 

そのような視点で考えると「同一労働同一賃金」は、人と組織が動的に変化していくことを妨げる可能性もあります。

 

 

自分達らしい、人と仕事の関係をデザインする

このように「同一労働同一賃金」という視点から観ると、企業には解決しなければならない課題がいろいろとあります。

 

何をもって同一の労働とするのか?

 

自分達らしい、これからの時代に合った組織の形とは何か?

 

10年後を見据えたとき、どのような仕事をに取り組む必要があるのか?

 

その人の努力や成果に報いる仕組み(賃金以外も含め)はどのようなものが適切なのか?

 

などなど、「同一労働同一賃金」について考える前に検討すべき課題があり、むしろその課題について考えることの方が重要だと実感しています。

 

人はみな違う。

 

世の中は変化し続けている。

 

そのような原理原則に沿った、新しい時代の組織や人事のあり方を考え抜いたうえで「同一労働同一賃金」について考える。

 

そうありたいものですね。

 



 

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