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幸せな資本主義 日経ビジネス新春号を読んで

2013年新春号の日経ビジネスは『幸せな資本主義』と題して、マイクロファイナンスやCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)に取り組む企業の事例が掲載されています。

 

新しい金融のカタチ

世界的な金融危機から4年。私自身も従来の金融のあり方に疑問を持ち、新しい金融のあり方を模索しています。ノーベル平和賞を受賞されたグラミン銀行のムハマド・ユヌス氏の書籍を読んだり、インターネットを活用した個人対個人の融資や寄付の仕組みに着目し、事例研究や活用方法の模索を続けています。

 

今回の特集では、神奈川県立麻生高校の「国際関係 地球市民入門」の授業が事例として取り上げられています。

 

利用したのはKiva(キバ)と呼ぶサイト。後発の開発途上国の借り手の声を集め、彼らに融資をしてもいいと考える小口の資金提供者を結びつける。いわゆるマイクロファイナンスの仕組みを提供している米国のNPO(非営利組織)である。

キバと連携した現地のNPOが資金需要者を発掘し、彼らの夢を次々とサイトに掲載していく。

日経ビジネス  2013年1月7日  新春号『幸せな資本主義』より

 

インターネットの発展により、個人と個人がグローバルに結びつきやすくなったいま、キバに限らずこのような『すべての人が気軽に貸し手になる』ようなサービスが次々に出現しています。

 

Kickstarter(キックスターター)も特集内で紹介されていますが、日本国内でも、

などクラウドファンディングが立ち上がっています。さらには、

 など、地元を応援するためのクラウドファンディングも出現しています。

 

CSVに取り組む個人・団体を、資金面で支援したいと思う個人が直接結びつきやすくなってきている・・・

 

私の周囲でも、さまざまな社会問題の解決に取り組もうと努力されている方々がいます。しかし、想いを実現するためには資金が必要であり、その調達に苦労している方々がほとんどです。大手の銀行や従来型の投資家は『儲かるかどうか?』が投資判断の最重要項目です。しかし、大儲けとはならなくても、未来のために必ず役立つ事業は存在します。インターネットの発展により、そのような事業に取り組む方々に光が当たりやすくなったのは素晴らしいことだと思います。

 

 

慈善型CSRの終わり

産業革命以降、人類は株式市場を通じて、短期利益を目的とした投資を呼び込み資本の集約を進めてきた。企業はその資本を元手に、石油や水、食料などの天然資源を使って利益を上げてきた。だが、株式市場が短期利益を追い求める限り、天然資源の保全など長期的視点が必要な21世紀の企業経営には足かせになる。それは、資本主義が宿命的に抱えたジレンマと言っていい。

日経ビジネス  2013年1月7日  新春号『幸せな資本主義』より

 

まさにこのジレンマを、多くの企業や個人が抱えているのではないでしょうか?

緊急ではないが重要なもの。それはつまり、

  • いまは大きな問題にはならないが、放置しておくといつか大きな問題となるもの
  • 未来のために重要だとわかってはいるが、目の前のことを優先してしまいなかなか取り組めないこと

のような事が私たちの周りに溢れています。七つの習慣の言葉を借りれば『第二領域』にあたるもの。

 

近江商人の『三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)』は、現代においてもビジネスの本質だと実感しています。ビジネスで得た利益で慈善事業を行うのではなく、ビジネスそのものが社会に役立つものを目指す。それは、本来のビジネスの在り方に戻ってきていると言えるかもしれません。

 

 短期的な視野からの利益至上主義が引き起こした金融危機によって、より多くの人がそれを実感しているいま、金融のあり方、企業のあり方、社会のあり方、そして個人のあり方が少しずつ変わってきている。そう思います。

 

 

 

仕事は組織を超える

クラウドソーシングという、インターネットを介して仕事の発注者と受注者を結びつけるサービス。日本国内ではまだまだですが、海外にはたくさんの事例があります。私の知人の中にも、このサービスを活用してスマートフォン向けのアプリ開発企業を立ち上げた方がいます。インドに住むエンジニアに協力してもらったり、海外からの資金調達に必要な法的支援をアメリカに住む弁護士にお願いしたり・・・すごい時代になったものだな~と聞いていて思いました。

 

エンプロイアビリティ(employability: 個人の“雇用され得る能力”のこと)という言葉がありますが、アビリティ(能力)を高めれば、雇用される必要がない時代になってきたわけです。

  

ジェレミー・リフキンは言う。「大資本が牽引したこれまでとは異なる新たな資本主義の萌芽が見え始めている」。これをリフキンは『分散型資本主義』と名づけている。人、モノ、カネのいずれの経営資源も大企業に集中していた時代が終わり、代わりに専門能力を持つ個人が簡単に結びつき、各分野の知識やスキルを活用できる時代が到来したということだ。インターネットの発展によって情報発信の担い手は企業から個人へと移行している。

日経ビジネス  2013年1月7日  新春号『幸せな資本主義』より

 

 

 インターネットの発展がもたらす社会構造の変化は、着実に、そして急激に進んでいます。

 

この激動の時代に生きる私たちは、常にこれまでの価値観が正しいかどうかを問い続ける必要があります。

 

望む、望まないに関係なく、常に世の中は変化していくもの・・・このような変化を楽しみながら、新しい時代の個人や企業、地域社会のあり方を模索し、チャレンジし続ける。

 

私自身も、関わっているさまざまな取り組みにおいてもそうありたいと改めて思えた、素晴らしい特集でした。



 

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