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永続性の条件 100年企業の研究 その1

帝国データバングが2008年に行った老舗の調査

書籍『百年続く企業の条件 ~老舗は変化を恐れない~』 帝国データバンク 資料館・産業調査部編 朝日新書によりますと、創業・設立から100年を超える企業は2万件(※1)を超えるそうです。これは世界的に見ても突出して多い数であり、日本特有のものだと言えます。

 

※1 『百年続く企業の条件』では、創業や設立から100年以上(2008年の調査時点:1908年以前の創業・設立)経った営利法人(学校法人や宗教法人、医療法人など非営利法人は除く)を「老舗企業」として分析対象としたそうです。帝国データバンクの企業概要データベース「COSMOS2」に収録されている老舗企業数は19,518社とのこと!IT業界では設立から10年程度で老舗と言われてしまうこともありますが、社歴100年以上のほうが納得できる定義です。

 

老舗が多い理由として、

  • 他の国々のように侵略によって根底から国のあり方が変わるようなことがなかった。
  • 地震・台風などの天災はあるものの、砂漠化していく地域と比べれば恵まれた自然環境である。
  • 日本の風土・文化として「受け継ぐ」「続ける」「次世代に引き継ぐ」などを重んじる面がある。
などが外部要因として考えられます。一方、企業の内部要因としてはどのようなものが挙げられるのでしょうか?そのあたりのことを、この帝国データバンクのアンケート調査が上手に引き出しています。
 
 
※ダイジェスト版がこちらから読めます。
 
 
日本の老舗が体験してきた出来事

1912年以前に創業・設立された約二万社の老舗企業は、

 

1914年~1918年の第一次世界大戦

1923年の関東大震災

1930年前後に起こった世界恐慌や昭和恐慌

1939年~1945年の第二次世界大戦

1973年のオイルショック

1985年のプラザ合意後の急激な円高
2007年の世界金融危機 

 

などの荒波を乗り越えてきたことになります。このほかにも、立地によっては天災、オーナーの死去や主力社員の離脱など存続を脅かす出来事がたくさんあるはずです。老舗企業を研究することは、そうした外部環境の変化に対してどうあるべきかを知ることにつながります。筆者は、「外部環境の変化に対し、適応しながら企業を永続させる力のこと=永続力」と定義しています。ここから、永続力の中身を少し明らかにしてきます。

 

老舗は”変えるべきもの”と”変えてはならないもの”を知っている

世の中は、望む望まないに関わらず、常に変化し続けている。これは誰しも実感するところだと思います。一方、どんなに時代が変わろうとも、人が人である限り変わることのない普遍の原理原則があります。古典や歴史を研究していると「変わらないもの」の存在と「変わりゆくもの」に気づくことができます。再び先述の書籍より引用します。
 

 創業時から現在に至るまでに、変えていないこと(もの)、変えたこと(もの)は何か、を聞いた。「社名、屋号は、創業時から不変」とする企業が48.9%、社名、屋号のいずれか、もしくは両方を変更した企業が46.7%とほぼ回答は二分された。見方を変えると、社名、屋号のいずれかをもしくは両方を変えていない企業が全体の85.8%にのぼり、創業時のブランドCI(コーポレート・アイデンティティ)を重視する姿も見える。

-中略-

100年以上の歴史の中では、商品そのものが進化し、製造手法も革新をとげ、そして100年前には、いや30年前でも予想できなかったネット経由の受発注も拡大している。このように顧客のニーズや時代の流れに合わせて変えるべきところは変えてきた、という企業が多数派である。

長寿企業 4,000 社アンケート 調査方法
タイトル:老舗に関するアンケート調査
調査方法:調査票郵送
調査対象:明治末年(1912 年)までに創業した長寿企業 24,234 社から 4,000 社を抽出
実施日  :2008 年 3 月 24 日~4 月 10 日
回答数 :814 社(回収率 20.4%)
  変化なし 一部変えた すべて変えた
家訓、社訓、社是等 38,8% 21.3% 6.5%
主力事業の内容 41.3% 48.8% 7.5%
製造方法 18.6% 45.7% 9.6%
販売方法 15.4% 65.6% 13.1%
商品/サービス 21.9% 62.4% 10.0%

百年続く企業の条件 ~老舗は変化を恐れない~』 帝国データバンク 資料館・産業調査部編 朝日新書

 

清酒製造、呉服・服地小売、旅館・ホテル業など、多種多様な事業内容があるため一概には言えませんが、こうしてみると販売方法や商品/サービスは時代の変化に合わせて変えるべきものであり、家訓・社是などは比較的変わっていないことがわかります。

 

では、代々受け継がれてきている老舗の家訓・社訓・社是はどのようなものなのでしょうか?また、家訓や社是と一口に言っても、その中身は多種多様です。「信用第一」のような概念的なものから「政治家にはなるな!」など具体的な行動規範を含めて、一般的には家訓や社是と呼ばれています。次回はそのあたりについてまとめます。 



 

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